イペ

材の動き
人工乾燥に長い時間がかかるため通常は未乾燥の状態で製材、加工され、その間および出荷後の輸送、保管中に徐々に乾燥します。この過程でひびや横ぞり等の動きが出ることがあり、寸法精度はあまりよくありません。 耐久性が同等のウリンと比較するとイペの方が丸太が大きい分、材質が素直なので長期的な動きはおとなしい反面、輸送期間が長いため施工時のそり等は若干出やすくなっています。
施工上でもっとも問題になるのが横ぞりです。当社は長さの0.5％までの膨らみを許容範囲としていますが、その場合、長さ2mのウッドデッキ材では最大10mmの横ぞりになります。このままでは施工できませんが、根太の間隔にカットするとそりが分散されて納まりやすくなります。(2mで10mmのそりのある材の長さを1mにカットすると、理論上のそりは2..5mmに減少します)

経年変化
経年変化により銀白化し、細かなひび割れやわずかな反りが生じますが、耐久性など使用上の影響はありません。施工当初のイペの材色を維持するにはオスモカラーなどの外部木材用浸透性塗料を塗布します。イペは硬くて緻密なため塗料の吸い込みが少ないので、約1年毎にメンテナンスをしてください。ハッスル・撥水君、オスモカラー推奨、ただしアクリル樹脂系塗料(キシラデコール他)は浸透性と謳っているものの劣化の際に塗膜がまとまって落ちて、斑が目立つ期間が長期に亘るため避けることをお勧めします。

材の色むら、汚れ
イペは濃色ですが色むらや汚れが目につくことがあります。加工直後のイペは薄いベージュ色で、空気や紫外線に触れると次第に濃色になります。梱包の外側と内部では若干の色むらが生じます。また、加工すると一列並べるたびに横桟を載せて、その上にまた並べる作業を繰り返して梱包にするため、横桟の載った部分はあまり空気に触れず、濃色化が遅れて色むらが目に付くことがありますが、施工後しばらくするとなじんできます。。
輸送期間が長いため埃のような汚れがイペを覆っていることもありますが、これは加工直後の湿った材に風で舞い上がった土埃などが付着して生じたカビが乾いたものです。埃は水で擦り洗いすると落ちるので、完成後にデッキブラシ等で掃除してください。
色むらや桟木の跡は雨や紫外線に曝されてしばらくすると目立たなくなりますが、気にされる方、色調を整えたい方は材色に近い色(オスモカラー ウッドステインプロテクター等)でオイル塗装すると効果抜群です。初回だけでも塗装しておくと、汚れも付着しにくくなるのでお勧めします

ひび、ささくれ
現地ではイペはほとんどが未乾燥の状態で加工されます。表示では「Air Dry」(天然乾燥)となっていますが、これは乾燥程度の表現が「Air Dry」と「Kiln Dry」(人工乾燥)の2種類しかないためで、天然乾燥といっても未乾燥の木材から製材や加工の合間に若干水分が抜ける程度です。船積時は多くが水分をたっぷり含んでいます。日本では出荷前の倉庫保管の間は動きが少ないためか、「なめらか」、「ささくれがない」などの説明が見受けられますが、施工してから表面が外気に曝されて急速に乾燥すると表面だけが収縮するので、実際は材の大半に多くのひびが生じます。ひびの部分からささくれができてトゲとなって刺さるので、素足での歩行は原則として避け、やむを得ない場合は材面を擦るような動きは避けてください。
イペはタンニン、ポリフェノール等の抗菌・防カビ成分を豊富に含んでいるためトゲが刺さると刺激が強く、痛みが強烈です。小さなお子さんがいらっしゃる場合や常時素足でご利用になる場合、ウッドデッキでペットと遊ぶことをお考えの場合等は、素足で歩けるアフゼリアのご検討をお勧めします。